8.152019
読書日記 「アダム・スミス ぼくらはいかに働き、いかに生きるべきか」
小暮太一著 日経ビジネス人文庫
経済学の先生お薦めの一冊です。
アダム・スミスと言えば、経済学の始祖、
「市場経済、小さな政府」の信奉者というイメージですが、
彼が本当に主張したかったことは何か、を教えてくれる本です。
アダム・スミスは実は哲学者、特に倫理の専門家でした。
封建主義に代わって資本主義が社会への影響力を強める混沌とした過程で、
大多数を占める一般市民の幸福の達成はどうあるべきか、
詳細に追究した成果が有名な著書「国富論」だそうです。
人間は他人からの評価を受けたくてうずうずしている存在。
しかし世間の評価はいつも正しいとは限らないので、
自分の中に確固たる評価軸を作り上げる必要がある。
どんなに贅沢な暮らしをしても、人間はそれに慣れてしまう。
よって贅沢は幸福度をアップさせない、
など現代に十分通用する指摘がちりばめられています。
中でも「1杯目のビールの幸福度は最高だが、
10杯目の幸福度はほとんどゼロかも」は、「限界効用(満足)の逓減」
という経済学の基礎中の基礎になっていますね。
「10杯目のビール」を「10台目のフェラーリ」に置き換えてみると、
富豪として有名なあの方も、そんなに幸せじゃない?と想像してしまいます。
金遣いの荒い方、読むと人生観が変わるかもしれません。
小原
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